当弁護団について
サカイ残業代訴訟弁護団は、「引越のサカイ」ことサカイ引越センター(以下「サカイ」)の現業職等の多くの従業員に対する残業代(割増賃金)の支払い、サカイの給与体系の改善、長時間労働等の労働実態の改善、引越業界・運輸業界の労働条件・労働実態の改善等のために、訴訟、労基署への申告等の活動をしています。
以下の弁護士が当弁護団に所属しています。いずれも三多摩法律事務所( ⇒ 詳しくはこちら)に所属している弁護士です。
◆ 弁護士 小林 克信
(第二東京弁護士会)
◆ 弁護士 村松 暁
(第二東京弁護士会)
◆ 弁護士 高畠 健人
(東京弁護士会)
◆ 弁護士 井橋 毅
(第二東京弁護士会)
訴訟の内容・当弁護団の実績
◆サカイ残業代訴訟第1陣
サカイの元作業員兼ドライバーの原告3名の代理人として、当弁護団がサカイの給与体系が不当であると訴えて未払残業代等を請求した訴訟です。
この訴訟で、2023年8月、東京地裁立川支部での第一審にて、原告3名合わせて、未払残業代等として約950万円、付加金として約620万円の計約1570万円の支払をサカイに命ずる判決を勝ち取りました。その後、サカイが控訴して舞台は東京高裁に移りましたが、本年5月15日、東京高裁(第1民事部 金子修裁判長)の控訴審でも、一審判決を維持する労働者側勝訴の判決を勝ち取りました。
出来高払制賃金(歩合給)は、通常の月給制とは残業代の計算方法が異なり、同じ労働時間数、同じ賃金額でも、月給制(割増率1.25)より出来高払制(割増率0.25)の方が残業代が低くなる仕組みとなっています。サカイはこの仕組みを利用して、5つの手当について本来は出来高払制に当たらないのに出来高払制と称して残業代を低く計算し、労働者に毎月平均80時間を超える長時間の時間外労働をさせていました。これについて東京高裁も地裁判決と同様に、5つの手当のいずれも出来高払制賃金にあたらないとの判断を下しました。いくら会社側が出来高払制賃金と称しても労基法に沿って正当な残業代を払う必要があると判断したことは、見せかけの「出来高給(歩合給)」に歯止めをかける重要なものです。
この判断枠組みは、サカイ内の全国の支社にあてはまり、原告以外の全国の現業職(現役・退職者双方を含みます。)との関係で共通の問題になり、同様に残業代を請求できる可能性があると考えています。また、サカイだけでなく、引越業界、さらにそれにとどまらず、「出来高払制賃金」を多く採用する運送業界全体にもあてはまる可能性があります。
なお、以上の高裁判決に対し、サカイが不服を申立て、現在、訴訟は最高裁に係属しています。
◆サカイ残業代訴訟第2陣
サカイの全面解決に逆行した対応や、多くの従業員・家族から声を寄せられたことを受け、当弁護団は、第1陣訴訟のたたかいだけでは早期の全面的解決とはならないと判断し、2024年8月27日、全国の5支社(5府県)に所属する現業職6名(現役、退職者双方含みます。)とともに、①サカイにおける給与体系の見直し、②労働実態の改善、③労働者に対する適切な未払残業代の支払いを実現させるべく、大阪地方裁判所に第2陣訴訟提訴を行うに至りました(6名合計、未払残業代合計約1870万円、付加金合計約1740万円)。
その後も現業職等の方々からご相談をいただいた結果、2024年12月13日付けで、新たに現業職(現役、退職者を含む。)の原告4名を追加する2次提訴をするに至りました。これにより、第2陣訴訟の原告数は、全国の8支社・7都府県の10名に拡大し、サカイへの請求額は、未払残業代合計約3471万円(1名あたり約347万円)、付加金合計約3183万円(1名あたり318万円)、総計約6655万円になりました。
以上の第2陣訴訟では、賃金請求権を放棄させる同意書に署名押印した方々も原告となっていることから、同意書が無効であることを明らかにしていく所存です。
さらに、第2陣訴訟提起と同時に、労働基準法104条に基づき、各労基署に対して申告も行いました。労基署も動かすことで、早期の全面的な解決に向けた道筋を作っていきたいと考えています。